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「ついでに、ちょっと話していこう」。頼れる”まちの相談役” 芸西商工会 松尾さん

芸西村の事業者にとって、身近な相談相手となっているのが「芸西商工会」です。

今回お話を伺ったのは、商工会の松尾さん。日々の仕事は、事業者の経理や税務のサポートから、創業や補助金の相談、村のイベントのお手伝いまで、実にさまざま。

でも、お話を聞いていると、商工会の役割はそれだけではないようです。用事がなくても、ちょっと立ち寄って世間話をする。そこから相談が始まることもある。地域の事業者との距離が近い、芸西村の商工会について伺いました。

商売のことを、いろいろ相談できる場所

普段はどんなお仕事を?

会員さんの経理関係の仕事が多いですね。帳面をつけるお手伝いをしたり、申告の時期になると申告書を作ったり。村が主催するイベントのお手伝いもあります。

この夏の納涼祭では、商工会の女性部が子どもさん向けのくじ引きを出店しました。
商工会が主催するというより、出店したり、実行委員会のメンバーとして参加したり、地域の行事をお手伝いすることが多いですね。納涼祭の花火も、商工会で協賛金を集めるお手伝いをしています。
そういうところでも、地域と関わっていますね。

「行きますよ」と言っても、来てくれる

仕事で大切にしていることは?

基本的には、僕らが事業者さんのところへ行きたいと思っているんです。でも、芸西村の方って来てくれるんですよ。「行きますよ」と言っても、「いい、いい」って(笑)。

商工会へ来て相談したり、世間話をしたり。そういう感じですね。相談といっても、いつも大きな話があるわけじゃないですね。商工会では村のごみ袋も販売しているので、それを買いに来たついでに話をすることもあります。

何を話すかって?もう本当に、世間話ですよ(笑)。
でも、そうやって顔を合わせることで、覚えてもらえる。そういう関係づくりも大事なことだと思っています。

「芸西村でお店を始めたい」も相談できます。

芸西村で新しく事業を始める方から相談を受けることもあります。

最近だと、商工会の近くに美容室を開業された方がいました。もともと美容師をされていた方なので、仕事のことは分かっています。商工会がお手伝いするのは、税務や手続き関係ですね。

開業したらそれで終わりではなくて、その後の帳面もこちらで見ています。経営を続けていく中で、「こうした方がいいですよ」とお話しすることもあります。

補助金などを使って、新しいことに取り組む事業者さんもいます。「何か使えるものはない?」と相談されるというより、「これをやる」と決めて来られる方もいますね(笑)。そういう時に、使えそうな支援策を一緒に考えたり、書類の書き方をアドバイスしたり。僕らにできるのは、そういうお手伝いですね。

新しく来た人も、ここでつながっていく

芸西商工会の会員さんは今、80名くらいです。

会員数がどんどん減っているという感じではなくて、最近は村外から来て事業を始める方も増えています。ふるさと納税をきっかけに芸西村へ拠点を置く事業者さんもいらっしゃって、そういう方も会員になっていただいています。

年に一度、商工会の総会があるんですが、その時には皆さんが集まります。芸西村はそれほど大きくない地域なので、もともと知り合い同士の方も多いですけど、新しく創業された方にとっては、そこでネットワークをつくることもできます。異業種の人たちと知り合ったり、商売の先輩に相談したり。そういうつながりもありますね。

「何でもする」。芸西村の事業者はパワフル

芸西村の事業者さんと接して感じることは?

パワーがありますよね。
商工会の吉田会長とか、かっぱ市の井上さんとか。皆さんすごくパワーがあります。どういうパワーかって言われると……何でもするというか(笑)。その年代の方たちが中心になって、いろいろなことをやっていますね。

以前は商工会の青年部がなかったので、「ないんだったら若手部をつくろう」と、独自の若手部をつくって活動していたこともありました。商工会の会員だけではなくて、同世代の農業者さんたちも一緒になってイベントに出店したり。

農業の方とのつながりもあります。商工会の中だけで完結するんじゃなくて、地域の人たちが一緒になって何かをする。そういうつながりは、芸西村にはあると思います。

芸西村は、とにかく「人がいい」

様々な地域の商工会を経験されてきて、芸西村の特徴は?

人がいいですね。普段話していても感じます。いろいろな人はいますけど、「この人はちょっと……」というような人がいなくて、みなさん和やかに話ができますね。

事業者さんもそうですし、地域の方もそう。面白い人も多いですよ(笑)。そういう人たちがいるから、商工会にも気軽に来てもらえるのかもしれませんね。

最近の楽しみは、新しい車でドライブ

趣味っていうほどのものは、特にないんですけどね(笑)。去年車を買ったんです。今はそれが自分の遊びみたいな感じですね。

どこかへ行くというより、走ることがメイン。道の駅に寄ったりしながら、ドライブを楽しんでいます。

知らなかった芸西村を、仕事をしながら発見

僕自身、芸西村へ来るまでは国道を通るくらいだったんですが、こちらへ異動になってから、村の中のことを知るようになりました。

この間も、レンタサイクルを借りたいという方から、観光パンフレットに載っているフォトスポットについて聞かれたんです。でも、僕も場所が分からなくて(笑)。それで職員と一緒に「じゃあ行ってみよう」と探しに行きました。

少し分かりにくい場所なんですけど、そこから西向きに見る景色が、結構きれいなんですよ。もちろん琴ヶ浜もありますし、仕事をしながら「こんな場所もあったんだ」と知ることがありますね。

芸西村は、意外と不便じゃない

これからの芸西村について思うことは?

芸西村は、移住にも力を入れていると思います。それと、今は子育てにも力を入れていますよね。その二つがうまく合わさったらいいんじゃないかなと思います。

ここって、そんなに不便じゃないんですよ。空港も近いですし、南国安芸道路もつながってきています。住む場所として考えると、意外と便利なところだと思います。

一方で、これから高規格道路が整備されれば、国道を通る車が減っていく可能性もあります。だからこそ、ただ通り過ぎる場所ではなくて、「わざわざ立ち寄ってもらえる場所」になっていくことも大事だと思います。

小さく始める商売にも、可能性がある

芸西村で何か始めたい、という方に

何を始めるかにもよりますけど、始めやすいのは飲食関係かなと思います。大きな商売というより、小さく始めるようなイメージですね。やり方によっては、地元の人にも、近隣から来る人にも来てもらえると思います。

芸西村には、人気の飲食店や琴ヶ浜の周辺には宿泊施設などもあります。そういうものがつながっていけば、もっと良くなっていくんじゃないかなと思います。

これから商工会として大切になってくるのは、事業承継ですね。
全国的にもよく言われていますけど、幸い芸西村では、今のところ「後継者がいなくて困っている」という案件は、それほど多くありません。子どもさんがすでに一緒に仕事をされている事業所もあります。それは、いいことだと思います。

地域で商売を続けていくには、地域にとって「なくてはならない店」になることも大切なんだと思います。この村で商売をどう続けていくか。僕ら商工会も、事業者さんと一緒に考えていけたらと思っています。

商工会というと、「経営のことで困った時に行く場所」というイメージがあるかもしれません。
でも、芸西村では、もう少し気軽な感じですね。ごみ袋を買いに来たついでに、ちょっと話をしたり。「最近どうですか」と世間話をしたり。

そうやって顔を合わせているうちに、何かあった時に相談してもらえる。それでいいんじゃないかなと思います。何か事業を始めたい時も、補助金を使いたい時も、帳面や税務のことで分からないことがある時も。気軽に来てもらえたらと思います。

【取材後記】
「芸西村は、人がいい」。そう話す松尾さん自身もまた、気軽に立ち寄って話したくなる、芸西村の事業者さんたちの身近な相談相手でした。

優しい笑顔で、穏やかに丁寧にインタビューに答えてくださる松尾さん。地域の事業者さんが「いい、こっちが行くわ」と会いに来られる理由が分かるような感じがしました。普段の何気ないやり取りが、地域の事業者さんを支えることにつながっているようです。