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「ほどよい田舎」が、ちょうどいい。芸西村に人を呼ぶ挑戦は続く。芸西村役場 産業振興課 岡村さん
海があって、山があって、高知市や空港にも近い。そんな芸西村の魅力を伝え、移住を考える人たちをサポートしているのが、芸西村役場 産業振興課の岡村さんです。
移住者の住まい探しから、空き家の活用、新しい支援制度づくりまで。その仕事は実にさまざま。
芸西村で生まれ育ち、現在は移住担当として村の未来を考える岡村さんに、日々の取り組みや仕事への想い、そして地元・芸西村の魅力についてお話を伺いました。

芸西村生まれ、芸西村育ち
小学3年生から高校3年生まで、ずっと野球でした
小学校3年生から高校3年生まで、10年ぐらいずっと野球をやっていました。ポジションはピッチャーやキャッチャー、高校では外野もやっていましたね。
子どもの頃は、外でよく遊んでいました。野球もそうですし、夏は川へ泳ぎに行ったり、秋にはアケビを採りに行ったり。自然が身近にある環境でした。
高校を卒業する時には、地元に残りたいという思いがあったんです。ちょうどリーマンショックの後で、公務員が人気だった時期でもあって。役場を受けてみようかなと思ったのがきっかけでした。平成24年度に採用されて、教育委員会や総務企画振興課を経て、令和6年度から産業振興課で移住を担当しています。
今、子どもも小学校で野球を始めたので、休日は練習の手伝いや試合に行くことが多いですね。
移住を考える人の、住まい探しをサポート
移住担当の仕事は、移住希望者からの相談を受けたり、住居を確保したりすることです。空き家バンクの運営や、空き家を活用した移住促進住宅、お試し滞在住宅の管理なども担当しています。
移住促進住宅は、空き家の所有者さんから住宅を借りて、改修したうえで移住希望者に貸し出す仕組みです。入居は基本的に1年契約で、最長5年まで利用できます。その間に家を建てたり、中古住宅を購入したりして、芸西村に定住してもらうのが目的です。
入居される方もさまざまですね。50代、60代のご夫婦もいれば、単身の方もいますし、最近は若いご夫婦にも入居していただきました。
そのご夫婦は、それぞれ村外にお勤めなんですけど、通勤の中間地点になることや、子育て支援が充実していることなどから芸西村を選んでくださったようです。
今は高知東部自動車道もつながって、高知市内も十分通勤圏内になっています。芸西村に住みながら、村外で働く。 そういう暮らし方もできるんですよね。
まずは、芸西村で暮らしてみませんか?
移住促進住宅とは別に、「お試し滞在住宅」もあります。
こちらは県外の方を対象に、1か月から半年まで利用できる住宅です。住民票を移す必要はなく、芸西村での暮らしを体験してもらうためのものですね。
以前、東京から30代ぐらいの方が来られて、半年ほど滞在されていました。リモートワークをされている方だったので、仕事をしながら芸西村で暮らしていましたね。
休日にはいろんなところへ出かけたり、地元のお店に行って近所の方と交流したり。結構アクティブに過ごされていました。その方は一度東京に戻られましたけど、高知県には興味を持ってくださっているようです。
いきなり移住を決めるのは難しいと思うので、まずは実際に暮らしてみる。そういう機会になればいいなと思っています。
同窓会が、地元に帰るきっかけになったら
人口減少対策の交付金を活用して、新しい支援制度にも取り組んでいます。
例えば、移住される方への奨学金返還支援や、住宅を新築・購入する際の補助金などですね。
それから、今年度から始めたのが同窓会への補助です。「みらいへつながる同窓会応援事業」です。
進学や就職で県外に出た人が、なかなか地元に戻ってこないということもありますから。同窓会をきっかけに久しぶりに地元の友人と集まって、芸西村のことを思い出してもらう。そこで「やっぱり地元もいいな」「また帰ってきたいな」と思ってもらえたらいいですよね。
まだ始まったばかりの事業で実績はないんですけど、問い合わせはいただいています。
僕自身も、地元に残っている同級生はそんなに多くないんです。野球を一緒にやっていた仲間とは今でも集まることがありますけどね。
そういうつながりが、Uターンのきっかけになればと思っています。

「ここを買う人はおらんろう」と思っていた家が
空き家バンクの仕事をしていると、意外なこともあるんですよ。僕らから見たら、「この家はなかなか売れんろうな」と思うような物件もあるんです。でも、条件が整っていれば登録してみようと。
そうしたら、実際に購入してくださる方がいて。これまでに、そんな物件が2件ぐらい売れたことがありました。
高知市から来られた新婚のご夫婦が購入してくださった家もあります。昔の大きな家で、全部リフォームしようと思ったら相当お金がかかるような物件だったんです。でも、使うところと使わないところを分けて、自分たちの暮らしに合わせて直していくとおっしゃっていて。特に奥さんがすごく気に入ってくださったんですね。
「ここが売れるがや」と驚きました。自分の価値観だけで、勝手に決めたらいかんなと思いましたね。
一方で、空き家を貸したり売ったりすることには、難しさもあります。
家の中に荷物が残っていることが多くて、それを片付けるのが大きなハードルになっているんです。空き家はあるはずなのに、移住希望者に紹介できる住まいが少ない。
移住者を呼び込みたいという思いはあるので、空き家がもっと活用できるようにしていきたいですね。
芸西村は「ほどよい田舎」なんです
移住相談のイベントなどで芸西村の魅力を伝える時には、僕は「ほどよい田舎」と言っています。
空港が近くて、高知市内にも車で30〜40分ぐらいで行ける。でも、ちゃんと田舎なんですよね。海も山も両方ありますし。都会から来られる方には、空港が近いというのも結構魅力に感じてもらえるようです。
移住情報サイトや移住フェアを通して
日々の仕事では、移住に関する問い合わせに対応したり、SMOUTという移住情報サイトを通じて芸西村の情報を発信したりしています。
移住に興味を持ってくださる方がいても、すぐに移住につながるわけではないんですよね。
でも、SMOUTを見てワーキングホリデーに興味を持ってくださった方や、大阪で開催された移住フェアに実際に来てくださった方もいました。
年間の移住相談は、フェアでの相談も含めて70件ぐらいです。まずは芸西村を知ってもらって、興味を持ってもらう。そういう接点を少しずつ増やしていくことも大切だと思っています。
興味を持ってくださる方がいるのは、うれしいですね。
今、考えているのは芸西村のPR動画を新しくすることです。以前制作した動画が少し古くなってきたので、今の芸西村での暮らしをイメージできるような動画にしたいと思っています。
農業の風景は絶対に外せないですし、かっぱ市や琴ヶ浜、桜ヶ丘公園なども紹介したいですね。芸西村を知らない方にも、「こんなところで暮らしてみたいな」と思ってもらえるようにしたいです。
地域おこし協力隊のサポートもしています。
今、芸西村では小松さんが農業に取り組まれています。最近は基本的にハウスで作業されているので、直接お会いする機会は少なくなったんですけど、LINEで「最近どうですか?」と連絡したりしています。
小松さんは芸西村での暮らしも、だいぶ楽しんでくれているみたいですね。
春になると、山の上がピンク色に。岡村さんおすすめスポット
僕自身は、どちらかというと海より山派なんです。
桜ヶ丘公園も好きですけど、特にお気に入りなのが、地元で「ツツジ山」と呼んでいる場所です。和食ダムの近くにある山で、頂上付近にツツジがたくさん咲くところがあるんですよ。
3月の終わりから4月の上旬ぐらいになると、すごくきれいなんです。地元の方が地主さんと話をして道をつけてくださっていて、四輪駆動の車なら上がれるようになっています。
山の上からは、ダムも見えるし、芸西村のビニールハウスや松林、その向こうの太平洋まで見渡せるんです。ツツジが咲くと、山の上がピンク色の線になったように見えて、国道からでもわかるぐらいなんですよ。
僕は毎年、春になると見に行っています。結構、村外から見に来られる方もいるんですけど、地元の人でも知らない方がいるかもしれません。本当にきれいなので、ぜひ見てもらいたい場所ですね。
真夏の草刈りも、移住者を迎えるための大切な仕事

インタビューの最後に、岡村さんがお試し滞在住宅を案内してくださいました。
「この間、草刈りしたので、ちょうどきれいになっちゅうはずです」
住宅の管理では、建物のことだけでなく、周囲の草刈りも岡村さんが行っているそうです。入居されている間は利用者の方にお願いしていますが、空室の時には自分たちで管理しなければなりません。


夏場は特に雑草が伸びるのが早く、なかなか大変です。
以前、住宅をInstagramで紹介することになった時も、草が伸びていたので、撮影前に自分で刈ったんですよ。次に入居する方が決まってからでもいいかなと思っていたんですけど、やっぱりきれいな状態で紹介したいですからね。
草刈りをしても、またすぐに伸びてきますし、きりがないんですけど(笑)。
移住を考えている方に芸西村を知ってもらうこと。そして、実際に暮らす場所を用意して、安心して来てもらえるようにすること。一つひとつの仕事を通して、芸西村に来てくれる人を増やしていきたいですね。
【取材後記】
移住促進住宅や空き家の活用、新しい支援制度づくりなど、芸西村に人を呼び込むためのさまざまな取り組みを聞かせてくださった岡村さん。
お話の最後には、お試し滞在住宅まで案内してくださいました。見学に来られた時の印象を良くするために、真夏の暑い中、伸びた草を自ら刈り、住宅をきれいに整えているというお話がとても印象的でした。
新しいアイデアを考えることも、地道に環境を整えることも、すべては芸西村に来てくれる人のため。岡村さんの仕事への想いが、そんな一つひとつの行動から伝わってきました。