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「好きなことをしていたら、芸西村になじんでました」 地域おこし協力隊・小松さん

朝早くからナスのハウスで作業をして、仕事が終われば海へ。
釣った魚は自分でさばいて料理する。自家製の柚子胡椒を作るために、いつか青唐辛子も育ててみたい。

神奈川県川崎市から芸西村へ移住し、地域おこし協力隊として農業を学んでいる小松さん。話を聞いていると、仕事と趣味、そして地域の人とのつながりが、ごく自然にひとつの暮らしになっていることが伝わってきます。

「自分でやりたいことをして生きるっていうのは、本当に理想だなって」
40歳を過ぎて会社員から、芸西村へ。その選択の先にあったのは、小松さんがずっと思い描いていた暮らしでした。

朝5時半から、ナスと向き合う

今は、輝農園さんでお世話になりながら、ナス栽培を学んでいます。

ちょうど今(8月上旬)は定植が終わったところで、ここから収穫に向けていろいろな作業をしていきます。定植してからだいたい1か月くらいで収穫が始まって、その後は6月の終わりくらいまで続きます。

夏場は暑いので、朝5時半くらいから作業を始めます。圃場を整えたり、通路をならしたり、苗を植える穴を開けたり。昨日は夕方から実際に苗を植える作業をしていました。

朝の作業は10時半くらいまで。そのあと特に作業がなければ、そこで終わることもあります。ハウスの中はやっぱり暑いですね。朝早くから始めて、暑くなったらやめて、また日が暮れてから作業する農家さんもいます。

農家さん同士の横のつながりもあって、「ちょっと手伝ってやー」みたいな感じで声をかけ合うこともあります。僕もこのインタビューのあと、別の農家さんの定植を手伝いに行く予定なんです。

もともと、芸西村は身近な場所だった

母親の出身が芸西村なんです。今住んでいるのも祖母の家です。

小学校、中学校くらいまでは芸西村に来ていました。働き始めてからは何年かに1回くらいになりましたけど、30歳を過ぎた頃からトライアスロンをやっていたので、兄と一緒に岡山からしまなみ海道を渡って、自転車でここまで来ることもありました。

子どもの頃は川遊びをしていましたね。釣りが好きなので、その頃からもっと釣りを楽しんでおけば良かったなって思います(笑)。

もともと田舎暮らしには興味があったし、農業も漠然と「やってみたいな」と思っていました。
一昨年、就農フェアに行った時に、芸西村で地域おこし協力隊として農業をする人を探していると教えてもらったんです。それですぐに調べて、問い合わせました。

サラリーマンから、農業の道へ

神奈川県にいた頃は、普通のサラリーマンでした。

農業を選んだのは、自分で自由に時間を使えるのかなという思いもありましたし、サラリーマン生活にちょっと疲れたというか、限界を感じたところもありました。

社会人になると、どうしても縛られる時間が多くなりますよね。朝、会社に行って、夜帰って。休みの日も疲れを取って終わる。40歳を過ぎて、そういうものも「もういいかな」と思うようになって。新しいことにチャレンジするのもいいのかなと思いました。

  (画像提供:小松さん)

黄色いスーパーカブで、芸西村へ

実は、神奈川県から芸西村までは、スーパーカブで来たんです。東京から船に乗って、そこからは陸路で高知まで。黄色いスーパーカブに乗って、芸西村までやって来ました。

そこから、農業を学びながら、釣りをして、料理をして、地域の人たちとつながっていく今の暮らしが始まりました。

海がすぐそこにある、理想の暮らし

芸西村に移住しようと思った理由のひとつが、すぐ近くで釣りができる環境でした。

今住んでいる家の前がすぐ砂浜なので、農作業に行かない日は朝4時に起きて、1時間くらい釣りをすることもあります。ほぼ毎日のように行っていますね(笑)。

琴ヶ浜でもいろいろ釣りましたよ。ヒラスズキ、ソウダガツオ、メジカ、モンズマ……。
趣味がすぐできる環境というのは、本当にいいです。それが、移住してきてよかったと思うところですね。

僕は基本的に「キャッチ・アンド・イート」なんです。おいしい魚を釣って、食べたい。
魚も自分でさばきます。こっちに来てから一番大きかったのは、5.8キロのヤイトハタですね。鍋と刺身にして、あとは唐辛子を使った中国の料理にもしました。

釣りをしていたら、地域につながっていった

芸西村は、周りの方が優しいですね。

琴ヶ浜に釣りに行った時に、知らないおんちゃんに「どうやったら釣れるんです?」って話しかけたんです。いろいろ教えてもらって、よくよく話してみたら、その方の奥さんがうちの母親の同級生だったんですよ(笑)。僕は母親が芸西村出身なので、もともとのルーツがここにあるというのも大きいと思います。

でも、地域の人の中にスルッと入っていければ、溶け込みやすい場所なんじゃないかなと思います。

農業を通じても、つながりがどんどん増えています。農業の研修施設で知り合った方と釣りに行くようになったり、そこからまた別の農家さんを紹介してもらったり。

農業、釣り、地域の人。何かひとつのきっかけから、次のつながりができていく感じがありますね。

ナスのたたきに、柚子胡椒。料理も自分で

料理は好きなので、良く作ります。

ナスだったら、たたきも好きですし、揚げ浸しもいいですね。ナスって出汁をよく吸うじゃないですか。実は、ナスのたたきを初めて食べたのは、30歳を過ぎてからでした。

安田町にナスを作っているいとこがいて、そこで出してもらったんです。僕の両親とも高知出身なのに、それまで食卓に出たことがなくて。食べた時に「うわっ、うまー!」って思いました(笑)。僕はメジカの生節をのせて食べるのが好きですね。

柚子胡椒も自分で作ります。芸西村では青柚子は手に入るんですけど、青唐辛子がなかなか手に入らなくて。だから関東に住んでいる兄弟に「青唐辛子を送ってくれ」って頼んでいます(笑)。

将来自分でハウスをやるようになったら、ナスの脇で青唐辛子も育ててみたいですね。単純に辛いものが好きなので、激辛の唐辛子も作ってみたいです。

地域おこし協力隊に向いているのは、こんな人

僕の場合は釣りが好きで、狩猟にも興味があるし、山にキノコを採りに行くようなこともしてみたい。そういう、自分がやりたいと思っていたことが全部できるところが芸西村だったんです。

だから、これから移住したり地域おこし協力隊になったりする人も、「芸西村でこれがやりたい」というものがある人が向いているのかなと思います。

僕自身は、地域おこし協力隊の任期後もここに定住するつもりです。

芸西村に来る「きっかけ」を、もっとつくれたら

芸西村で、もっといろいろなイベントができたら面白いんじゃないかなと思っています。琴ヶ浜も知られるようになっているので、そこをもっとアピールして、アクティビティを企画するとか。

農業だったら、ナスの収穫体験もできると思います。ナスは6月末頃になると収穫を終える農家さんが多いので、その時期に都市部の人に来てもらって、収穫を体験してもらう。

都会に住んでいたら、自分で野菜を収穫する機会ってなかなかないじゃないですか。そういう体験が、芸西村に来るきっかけになったらいいですよね。自分が農家になった時には、そういう企画にも協力してみたいです。

 (画像提供:小松さん)

自分でやりたいことをして生きる

僕は、自給自足みたいな暮らしにも憧れがあります。
農業をして、趣味をする時間もあって、自分で食べるものを作ったり、釣った魚を料理したり。

ここ最近、特に思うんです。社会人になってからは、どうしても縛られる時間が多かった。だから今は、
自分でやりたいことをして生きるっていうのは、本当に理想だなと思っています。

芸西村には、僕がやりたかったことができる環境がありました。
これから農家になって、その先にまた新しくやりたいことが出てくるかもしれない。それも楽しみですね。

【取材後記】

ナスの話から始まったはずが、気づけば釣り、料理、柚子胡椒、唐辛子……話題がどんどん広がった小松さんのインタビュー。
でも、その全部が小松さんの「芸西村での暮らし」につながっていました。

働くことも、遊ぶことも、自分の手でつくっていく。
小松さんの楽しそうな話を聞いていると、芸西村で暮らす魅力が、なんだかとてもシンプルに伝わってきました。