ふるさと納税関連・事業者紹介
活躍する住民
「どうしたら喜んでもらえる?」をずっと考えている。興洋フリーズ株式会社 専務取締役 高橋さん
魚の加工・販売をはじめ、芸西村のふるさと納税返礼品として人気の漬け丼やカツオのたたきなどを手がける興洋フリーズ株式会社。近年では、これまで捨てられていた魚の皮を「フィッシュレザー」として生まれ変わらせるなど、魚を無駄にしない新しい取り組みにも力を入れています。
今回お話を伺ったのは、専務取締役の高橋哲也さん。
商品を届けたその先にいる人のことを、とことん考える。そんな高橋さんに、興洋フリーズのこれまでと、商品づくり、芸西村への想いについて伺いました。
イカの加工から始まって、41年
興洋フリーズは、もともとイカの加工をメインに始まった会社なんです。
父ともう一人の方が一緒に起業して、イカの加工やエビの寿司ネタなどを、ブライン凍結という液体凍結を使って作っていました。
最初は10人くらいの少人数でやっていましたが、そこから少しずつ事業が大きくなり会社として設立してから今年で41年になります。

「魚で人を幸せにする」
弊社には「魚で人を幸せにする」というスローガンがあります。
商品を買って食べていただいた方が、「美味しい」と感じてくれる。美味しいって、幸せにつながると思うんですよね。
もちろん、お客様だけじゃなくて、従業員もそうです。
働いている人が、ただしんどいだけじゃなくて、「ここで働いてよかった」と思える環境にもしていきたい。
魚に関わる人みんなが幸せになればいいな、という思いですね。
「何でも言って」と言える環境に
従業員の皆さんとの関係で、大切にしていることは?
コミュニケーションは大事にしています。最近だったらLINEでやり取りすることも多いですね。ちょっと調子が悪そうだなと思ったら、「大丈夫ですか?」って連絡したり。
僕自身は、普段から「何でも言って」という姿勢でいるつもりなんです。そうすると、みんないろいろ言ってくれますし、何かあったら、その都度できることは対応するようにしています。
あとは、まず家庭を大切にしてもらいたいと思っています。
小さいお子さんがいる方もいますから、お子さんの具合が悪かったら、気軽に「休みます」と言えるような環境づくりを心がけています。
捨てていた魚の皮から、フィッシュレザーへ
魚って、食べられる部分以外にも皮や骨など捨てられてしまう部分がたくさんあります。魚自体の廃棄物って実は60%もあるんです。そういう廃棄物をゼロにできたらいいなという想いがありました。
「この捨てているものを、何かに使えないか」そこから始まったのがフィッシュレザーです。

もともとは代表の息子さんが、捨てられていく魚の皮を見ながら「これ、何かできないかな」と考えたのがきっかけでした。「じゃあ自分たちでやってみよう」と個人で始めて、会社がサポートしていましたが注文が増えて手が回らなくなってきたので、今は会社のひとつの部門になっています。
魚の皮をなめして、色をつけて、革製品にする。
魚によってそれぞれ模様も質感も違いますし、同じ魚でも全く同じものは一つもない。本当にオンリーワンですね。
鯛なんかは「めでたい」ですから、お祝い事にも使えるようなものができたら面白いよね、とか。そういうことも常に考えています。
水産加工場とフィッシュレザーの製造を同じところでやっているからこそ、加工の段階から皮をきれいな状態で残すこともできます。「高知にこんな産業があるんだ」と知ってもらえるように、もっと発信していきたいですね。

他にもできることがあるかも
皮をフィッシュレザーにできるなら、もっと他の部分もできることがあるんじゃないか、そう考えて、【骨肉分離器】という機械を導入して、魚のアラから身と骨を分ける取り組みもしています。
そこで取れる身を、お魚ハンバーグやペットフードに使ったり。まだ取り組みの途中ですが、魚を無駄なく使えるようにしていきたいです。
廃棄物ゼロを目指す、いわゆるサステナブルな取り組みや環境を考えることにつなげていきたいと思っています。
「ふるさと納税」のきっかけは?
きっかけは、知り合いの方から「一緒にやらないか」と声をかけてもらったことでした。
ちょうどその頃がコロナ禍だったんです。うちはもともと卸販売がメインだったので、コロナ禍で卸が本当に厳しくなりました。
そこで、ネット販売・通信販売の方へ舵を切ったんです。もともと通信販売もやっていたので、ネット販売のノウハウはありました。それと芸西村のふるさと納税のタイミングがうまく合ったんです。
芸西村のふるさと納税に携わるようになって生まれた商品の代表が、【漬け丼】です。
真鯛、ブリ、カンパチ、マグロ、イカなど、いろいろな魚種で作っています。
タレもオリジナルで、魚によって少しずつ味を変えているんです。

実はこのタレ、ほかの料理にも使える万能調味料なんです。うちの工場長がもともと料理人なので、そういうところは得意なんですよ。「こっちの味がいいんじゃない?」とか言いながら、いろいろ開発しています。
一番人気は、やっぱりカツオのたたきです。高知といえばカツオ」というイメージがありますからね。
でも実は高知って、真鯛の養殖も盛んなんです。カツオだけじゃなくて、他の魚ももっと知ってもらえたらいいなと思っています。
「手軽に、美味しく」な商品づくり
これからやっていきたいのは、手間がかからずに、美味しく食べられる商品です。
例えば、電子レンジで1分30秒とか2分くらい温めたら、一食ができるようなもの。
今も塩サバを電子レンジで手軽に食べられる商品はやっていますけど、もっといろいろな海産物でできたらいいなと思っています。
スパイスと海産物を組み合わせたらどうだろう、とか。
魚って「魚臭いから苦手」という方もいるじゃないですか。だったらスパイスと合わせることで、もっと食べやすくできないかなとか。
シーフードを常温で保存できるようにして、インスタントラーメンを作った後にポンと乗せるだけで、ちょっと豪華になるような商品ができないかな、とか。
そんなことを、ずっと考えています。
魚が苦手な人でも気軽に食べられるものを
僕も妻も、魚をあんまり食べないんですよ(笑)。
でも、だからこそ、魚が苦手な人でも気軽に食べられるものができたらいいなと思うんです。
「魚でしょ」って言って食べない人に、「美味しいから食べて」だけでは、なかなか届かないじゃないですか。だったら、どうしたら食べてもらえるのか。
妻も電子レンジで食べられる塩サバは「美味しい」って食べてくれたんですよ。だからやっぱり、「手軽に美味しく食べられる」っていうのは大きいんだと思います。
究極のズボラ飯というか(笑)。ズボラって言うとちょっと語弊がありますけど、「時短飯」ですよね。調理する時間を短くして、浮いた時間を自分の時間に使えたらいい。
僕自身、美味しいものは好きですけど、調理するのは苦手なので、電子レンジで何かできないかなというのは、いつもどこかで考えています。
これから高齢者も増えていく中で、火を使わず電子レンジで調理できるというのは、安心にもつながると思います。
とことん「お客様ファースト」
仕事で一番大切にしていることは?
やっぱり「お客様ファースト」です。
お客様が納得していただけるところまで、誠心誠意対応する。
例えば、商品を送って「溶けていた」など、お客様が納得していないのであれば、納得していただくために僕らができることをやります。
「美味しい・美味しくない」は個人の感覚だから、それで終わらせることもできると思うんです。でも、できることなら「もう一度チャンスをください」と。
そこで納得していただけなかったら、もう一度やる。3回くらいまではやるんじゃないかな(笑)。
そこに対して、コストってあまり考えていないんですよね。目的は、お客様に納得していただくことなので。そこで納得していただけたら、そこからまたお付き合いが始まるかもしれないじゃないですか。
だから僕は、コストというより「先行投資」に近いと思っています。クレームも、言ってしまえば「未来への投資」ですね。
ふるさと納税をきっかけにうちを知って、その後ネットショップで商品を買ってくださる方もいますし、フィッシュレザーを買ってくださった方もいます。
一度のやり取りで終わるんじゃなくて、そこからお付き合いが続いていくかもしれない。せっかくできたご縁なので、大切にしていきたいんです。

ふるさと納税を通じてお客様とのご縁ができて、芸西村と関わったことで、いろいろな人との付き合いも増えました。本当に、縁があっての話ですよ。
実はこの前、芸西村の支店に子猫が一匹、どこからともなく迷い込んできたんです。どこから来たのか分からないんですけど、あれよあれよという間に、うちで飼うことになって(笑)。新しい家族になりました。
そういう縁もあるんだなって。芸西村と関係を持ったことで、本当にいろいろなご縁ができていますね。

高橋さんにとっての芸西村
僕は安芸に住んでいるので、どこかへ行く時には必ず芸西村を通ります。だから、「芸西村がもっともっと大きくなったらいいのにな」って勝手に考えるんですよ。
僕は、芸西村は「高知県東部への入り口」だと思っています。東部の入り口が広がって、そこに人が集まれば、そこからさらに東へ人が流れていくと思うんです。
ただ通り過ぎるんじゃなくて、「ここに行きたい」「このお店に寄りたい」と、わざわざ立ち寄りたくなる場所が増えたらいいですよね。
芸西村の企業さんも、うちも、それぞれ一つの企業です。でも、それぞれが横につながって、大きな波になって、一つの大きなイベントとか、何か面白いことができたら、もっと良くなるんじゃないかなと思っています。
僕も、できることがあればやっていきたいです。

「どうしたら喜んでもらえる?」を、ずっと考えている
これから挑戦していきたいことは?
美味しいことは、もちろん基本です。そのうえで、できるだけ手軽に食べられた方がいい。
他がやっていないこともやってみたい。買っていただいた方に「失敗した」と思われるのが、僕は嫌なんですよね。せっかく選んでくれたんだから、「これにしてよかった」と思ってもらいたい。
電子レンジで食べられる商品も、スパイスと魚の組み合わせも、まだまだ考えていることはたくさんあります。
「これ、何かにできないかな」
「こうしたら、もっと食べやすいんじゃないか」
「どうしたら喜んでもらえるかな」
そういうことを、ずっと考えていますね。こだわり抜いて、自信を持って提供できるところまでいく。
目指すのは、そこですね。
【取材後記】
「お客様が納得するまでやる」。
その言葉通り、高橋さんのお話は、商品づくりからクレーム対応、フィッシュレザー、そして芸西村の未来へと、次々に広がっていきました。
「これ、何かに使えないかな」 「もっと手軽にできないかな」 「芸西村も、もっと面白くならないかな」
目の前にあるものをそのままにせず、もう一歩先を考えてみる。
その積み重ねが、興洋フリーズの新しい挑戦につながっているのだと感じました。