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30本の竹から、なぜ数千人が集まる夜が生まれたのか。~ 琴ヶ浜「竹灯りの宵」、灯りがともるまでの舞台裏 ~

琴ヶ浜に竹あかりがともる夜、数千人がその景色を見に訪れます。
今年は、この夜をつくる人たちの物語にも、少し触れてみませんか。

10月31日に開かれる「琴ヶ浜 竹灯りの宵」。
灯りがともるまでをたどると、当日の景色も、少し違って見えるかもしれません。

竹を切り出し、山から運ぶ。この仕事が、いちばんこたえます。

今年、山から切り出した竹は360本。

中心になって働くのは、集落活動センターげいせいの支援員と、メンバーである地域のおんちゃん・おばちゃんたちです。太さ、年数、まっすぐさを見て、使える竹を一本ずつ選びます。日頃から竹林整備に取り組む人たちの経験が、ここで生きています。

朝から山に入り、竹を切ります。切った竹を山から運び出すまでが、重労働です。
3.5メートル以上ある竹を持ち上げ、肩に担ぎ、斜面を下ったり登ったりしながら運び出します。竹の重さを受け止めながら、足元も確かめなければなりません。一本を届けたら、次の竹を取りに、また山へ戻ります。

「サトウキビの収穫より、竹の切り出しが一番大変」

センターのメンバーの言葉です。
肩にあざができるほどの作業を、経験豊かな人たちが繰り返しています。制作場所に竹がそろっていると、つい、その先の穴あけに目が向きます。でも、そこに届くまでが、すでに大仕事なのです。

使える竹を見極め、長い竹を斜面で扱う経験は、すぐに身につくものではありません。今のベテランたちと一緒に山へ入り、その仕事を覚えていく人も必要です。灯りを続けるための課題は、山の中にもあります。

農業を支えた竹が、今は灯りに

かつて芸西村では、竹を骨組みにした和紙張りのハウスで園芸が行われていました。
竹は農業を支える材料でした。骨組みがスチールに変わると需要は減り、手入れの行き届かない竹林が増えました。竹が周囲の里山林へ入り込み、ほかの植物にも影響を及ぼす問題が「竹害」です。

村は、侵入竹を含む竹林整備を補助制度で支えています。センターも日頃から手入れに取り組んでいます。

灯りに使うだけで、竹害が解決するわけではありません。それでも、使い道の減った竹を、今度は人が楽しむものに変えていく。そのきっかけは、一人の職員が見たテレビでした。

30本の次は300本、そして東京へ

きっかけは、2014年10月25日の芸西村合併60周年記念公演でした。

落語家を招く会場を、和の雰囲気で演出したい。教育委員会の職員は、テレビで見た竹あかり総合プロデュース集団、CHIKAKEN(ちかけん)に心を惹かれました。ラジオでも話を聞き、メールで依頼して、村に来てもらいました。

ワークショップには約40人が参加し、30本の竹に穴を開けました。

完成したオブジェに灯りをともすと、その後は飲み会になりました。つくるところから、眺めて楽しむところまで、自分たちで過ごした時間でした。

職員はCHIKAKENに琴ヶ浜を案内し、「いつか、この場所で開催できたら」と伝えました。
観光担当の職員からは、翌年は300本に広げて琴ヶ浜で開催しようという提案が出ました。

30本から、一気に10倍です。村長も気に入り、教育委員会と観光担当の職員が準備を進めました。

翌2015年5月には、職員たちは東京・日本橋まで直接会いに行きました。
着物姿のマネキンと竹あかりの展示で、琴ヶ浜で催しを大きくしたいと伝え、賛同を得ました。

宝くじの助成金も活用し、同年9月27日、初めて「琴ヶ浜 竹灯りの宵」が開かれました。
2024年は雨でも約2,500人が来場。過去には3,000人規模の来場もあります。

穴あけは楽しい、でも腰が痛い

山から届いた竹は、デザインに合わせて必要な長さにカットします。
この工程でもセンターの支援員とメンバーが活躍します。長い竹を一本ずつ切り分け、穴あけや組み立てに取りかかれるよう準備します。

今年の制作は10月9日から12日。センターの支援員やおんちゃん・おばちゃんたちを中心に、延べ約220人が参加しました。村内外のボランティアは穴あけを、中学生は組み立てを担いました。県外から加わってくれた人もいます。

穴を開けて模様ができてくると、最初は見せ合いながら会話も弾みます。
ところが、時間がたつと口数が減ります。竹を押さえ、同じ姿勢でドリルを動かし続けるうち、腰が痛くなってくるのです。施設の中など、日の当たらない場所でも汗だくになります。

体を起こして腰を伸ばしても、まだ竹が残っています。またかがんで、手を動かします。作業場には、穴を開ける音が続きます。山で竹を担ぐ人から、切り分ける人、穴を開ける人、組み立てる人へ。

10月28日から31日には琴ヶ浜へ運び、配置して灯りを確かめます。
設営もセンターの支援員とメンバーが中心となり、5月から準備を重ねる担当課の職員らと本番を迎えます。設営から撤去まで、延べ約100人が関わる予定です。

それでも毎年「やって良かった」

ろうそくから始まった竹あかりには、今はLEDも併用しています。灯し方は変わっても、竹を運び、加工し、並べる仕事は続いています。すべてを並べて灯りがつくと、毎年「やって良かった」と思う、とセンターのメンバーは言います。

来場者が足を止め、灯りに見入ります。その姿を見て、準備した人たちは頑張ったかいを感じます。山から運び出した苦労も、穴あけと組み立てを重ねた苦労も、そこで報われます。会場で思わず感想がこぼれたら、近くの作り手にも伝えてみてください。

10月31日は琴ヶ浜へ

今年の会場は琴ヶ浜野外劇場周辺。10月31日(土)、午後3時から8時30分まで、入場は無料です。午後3時からの竹制作ワークショップは先着50名。参加したい方は、開始に合わせてお越しください。

午後5時からは「灯り人」として、来場者も点灯に参加できます。チャッカマンは事務局で無料貸し出しします。竹の中のろうそくに火をともしたら、少し離れて眺めてみてください。自分が灯した竹を、その夜は何度も見に戻りたくなるかもしれません。

当日は、芸西村のInstagramを会場でフォローしてくれた先着300名に、村のナス・ピーマンとスープカレーのセットをプレゼントします。対象アカウントや受け取り方法は、当日ご案内します。QRコードから答えるアンケートでは、抽選で豪華賞品も当たります。

会場に来場者用の駐車場はありません。無料臨時駐車場3か所からシャトルバスを運行します。
ごめん・なはり線の和食駅からは徒歩約7分。対象列車は線内各駅と和食駅の間を往復無料で利用できます。
来場方法と対象便を確認してお出かけください。

村の開催案内はこちら 

竹灯りの宵のInstagram 

誰かと一緒に、自分で灯した竹を眺める。10月31日、そんな秋の夜を琴ヶ浜で過ごしませんか。